カテーテルアブレーションとは不整脈の原因となっている心筋を焼灼して、不整脈を治す治療方法です。心房細動アブレーションの焼灼部位は心房筋です。心房筋の厚さは1mm〜15mmで場所によって異なります。心筋を焼灼する際は、心筋の内側から外側まで(貫壁性)焼灼しなければなりません。なぜならば不整脈の原因は心筋壁の内側にあるのか外側にあるのかは分からないからです。
貫壁性に焼灼するために、どれくらいの力でカテーテルを心筋に押し付け、どれくらいの高周波の出力を使い、どの程度の時間高周波を流すかは、経験的に決めていました。しかし、実際にはその焼灼の程度(深さ)は目に見えるわけではないので、時には不十分な焼灼になって、不整脈を十分に治療できなかったり、逆に焼けすぎてしまい、心タンポナーデ(心臓の周囲に血液が漏れる合併症)をおこしたりしていました。
しかし、このたび、アブレーションインデックスといって、焼灼深度が推測可能なシステムができたのです。原理はこうです。焼灼深度を決定する因子で最も関与の大きい1)カテーテルを心筋に押し付ける力、2)高周波出力、3)高周波通電時間の3者のそれぞれを変えて直視下で動物の心筋を焼灼し、実際の焼灼深度を測定して、1)~3)の数字で焼灼深度を割り出す公式を作り出したのです。実際にこの公式が正しいかを動物実験で検証すると、推定焼灼深度と実際の焼灼深度はほとんど同じでした。対象となる心筋の厚さは、心腔内超音波エコーで測定可能です。
ここに来て、カルトシステムは私達の望むほとんど全てのものを創出したといっても過言ではないでしょう。当院はアブレーション専門施設なので、このシステムの正式発売の約半年前から使用開始していますが、治療確実性と安全性の向上、術時間の短縮につながっています。
アブレーションインデックス(推定焼灼深度)と実際の焼灼深度はほとんど一致しています。 | Nakagawa H, et al. Heart Rhythm 2013;10:S481(abstr) |