以前から認知症患者に心房細動を患っている人が多いのは良く分かっていました。しかし、両者に直接の因果関係があるかは不明だったのです。
最近報告された研究によると心房細動患者はそうでない人に比較し、認知症を発症しやすいことが明らかとなりました。オランダで実施された研究で(1)、認知症になっていない6514人を20年間経過観察しました。その内、318人(4.9%)の人が最初から心房細動を患っていたそうです。
20年間の経過観察で、994人(15%)が認知症を発症しました。心房細動患者はそうでない人に比較して、1.3倍この認知症になりやすかったようです。
どのような心房細動治療を行えば、将来の認知症が予防可能かは、まだ良くわかっていません。認知症発症までに時間がかかるので、かなりの長期間の研究が必要です。しかし、カテーテルアブレーションで心房細動が根治されれば、認知症も予防可能になることが十分期待されます。
夏の北海道、名寄の病院に行く途中の草原です。冬の景色が一変していました。 |
参考文献
(1)de Bruijn RFAG, Heeringa J, Wolters FJ, Franco OH, Stricker BHC, Hofman A, Koudstaal PJ, Ikram MA. Association Between Atrial Fibrillation and Dementia in the General Population. JAMA Neurol. 2015;72:1288–1294.