次世代の心房細動治療法「パルスフィールドアブレーション」。
パルスフィールドアブレーションの原理は、0.25秒という短時間、高電圧の電気を流し、心筋細胞の膜に穴を開け壊死させるものです。
電圧の大きさを調整すると、心筋細胞のみに穴を開けることが可能で、周囲の神経や食道に障害を与えることはありません。また、従来の高周波通電と異なり、焼灼後に心筋が縮むことがないので、肺静脈狭窄などの合併症は発症しません。
パルスフィールドアブレーションの特長と適用範囲
パルスフィールドアブレーションは、現在のところ、肺静脈を治療する場合にのみ使用されています。肺静脈以外のピンポイントの心筋を治療するカテーテルは現在開発中です。
当院でもこのパルスフィールドアブレーションを2024年8月から開始しています。
我々が使用しているバイオセンスウェブスター社のバリパルスカテーテルは、同社の3次元画像上に表示させることが可能で、カテーテルの電極が心筋に接触していることも確認でき、他社にないすばらしい機能を有しています。
しかし、カテーテルのサイズが日本人の平均的な心臓に対しやや大きいので、すべての人に使用できるわけではなく、術前に肺静脈や心房を確認して、やや大きめの心臓の人に対して使用しています。
従来の高周波カテーテルアブレーションとの比較
従来の高周波カテーテルアブレーションでもパルスフィールドアブレーションでも、不整脈の原因部位を明らかとし、その部位を治療すると言う点においては、何ら変わりはありません。
高周波アブレーションの安全性は既に確立されており、本法を使用しても、確実で安全な治療が可能です。また、肺静脈以外に、心房細動起源が存在する場合は、ピンポイントで焼灼しなければならないので、現行のパルスフィールドアブレーションカテーテルは不適で、高周波アブレーションカテーテルでないと治療できません。
大切なのは安全なアブレーション治療を選択すること
テクノロジーの進化に伴い、カテーテルアブレーションの方法も変わります。
我々のスタンスとしては最先端の技術を十分に活用し、現状で最も確実で安全なアブレーションを実施することです。
現行のパルスフィールドアブレーションは上記のいくつかの問題点があるため、パルスフィールドと高周波の長所を活かしながら、治療を行っています。