今まで何度も書いてきましたが、心房細動は脳梗塞の危険因子です。心房細動患者さんの脳梗塞発症率は1年間に平均5%で、心房細動のない人の2~7倍高い。脳梗塞急性期医療の研究によれば、発症後7日以内に入院した脳梗塞患者さんの20.8%に心房細動を合併していました。心房細動と脳梗塞は密接に関係があるのです。
心房細動カテーテルアブレーション治療は、心房細動を根治させる治療方法ですので、脳梗塞の予防につながることは予想されていました。このことに関して、最近、大規模でかなりクオリティーの高い研究結果が発表になりました。
米国で実施された研究です。アブレーション治療を実施された心房細動患者さんが4212人、アブレーションを実施されていない心房細動患者さんが16848人、心房細動のない通常の人が16848人参加しました。この人達の経過を追ったところ、アブレーション治療を実施されていない心房細動患者さんの脳梗塞発症率が最も高く、アブレーションを実施された患者さんは、通常の人々と同等の脳梗塞発症率だったのです。しかも、CHADS2スコア(脳梗塞になりやすさのリスク)に関わらず、脳梗塞予防効果が認められました。つまりは、元々脳梗塞になりにくいと考えられた若年者の心房細動の患者さんでも、アブレーション治療を実施することで脳梗塞予防効果があったということです。
時とともに多くのエビデンス(証拠)が蓄積され、カテーテルアブレーション治療が更に認知されてきています。最近、多くの若年者の心房細動患者さんが紹介されてきて、そのほとんどの患者さんが治療後に大変喜ばれています。