正常に脈拍が打つとき、心臓の中で電気刺激を出す司令塔は、右心房の洞結節という部分です。そこは1分間に50〜100回の頻度で規則正しく興奮しています。
心房細動の3大原因は加齢、心臓病、飲酒です。それによって心臓にストレスがかかると、心房に傷ができてしまい、その傷が心房細動起源になるのです。この起源は1分間に500〜600回という高頻度で興奮します。洞結節よりこの心房細動起源の興奮頻度が早いので、心房の興奮は心房細動起源に支配されてしまうのです。
心房は全体としては、この早い興奮についていけず、心房の各所が無秩序に、統制なく、てんでバラバラに電気興奮します。しかし、心房と心室の間にある房室結節という部分は、ゆっくりとしか興奮できないので、心房の高頻度興奮の一部分だけを心室に伝えます。そのために、心室は心房細動のときでも、50〜200回/分程度の興奮でおさまるのです。もし、この房室結節がなければ、心房細動時は心室も高頻度に興奮し、容易に心室細動になることでしょう。実際、非常に稀ですが、房室結節の伝導能力が良すぎると、心房細動から心室細動に移行する人もいるくらいです。
心房細動の治療とは、薬もしくはカテーテルで、この心房細動起源を、抑制、もしくは焼灼することに他なりません。
心房細動のメカニズム