心房粗動という不整脈があります。心房の中に電気の通り道ができてしまい、そこをぐるぐると電気が回り続けることで不整脈が続いてしまいます。心房粗動を根本的に治療するためには、その電気的な回路を明らかにし、回路の一部にアブレーションカテーテルでブロックラインを作成しなければなりません。その回路は、比較的容易に分かる場合もありますが、心臓手術をした後に発症した心房粗動などは、心房の至る所に切開、縫合したあとや、元来の心臓弁膜症の時にできてしまったキズあとがあり、心房粗動の回路を明らかにするのが、非常に困難な場合があります。
そこで考え出されたのが、リプルというシステムです。イギリス人医師の発案で、天才的なひらめきによって作り出されました。
心臓の中の電気の流れは一様ではありません。一部の心筋では電気が流れるのに時間がかかります。従来のカルトシステムでは、一箇所の心筋には一つの興奮時間しか当てはめることしかできませんでした。しかし、心房粗動時には一箇所の心筋でゆっくりと電気が流れていきます。つまり複数の興奮時間を当てはめなければなりません。それは2次元のマップ上では表現ができなかったのです。それがカルトシステムの限界でした。リプルシステムは、一箇所の心筋の電気の流れを、バーの伸び縮みで表現したのです。それにより、心房粗動の回路の理解が非常に容易になりました。
現在では、この方法を使用すれば、いかに複雑な心房粗動でも回路が明らかにならないことはありません。