心房細動はその発症形態により、発作性、持続性、慢性心房細動に分類されます。発作性心房細動とは、心房細動が発作的に発症し1週間以内に自然に治まるもののことを言い、持続性、慢性心房細動とは、心房細動が慢性的に継続し、その継続期間が1年未満のものを持続性、1年以上のものを慢性心房細動と呼んでいます。
下記のグラフは、2005年から2050年までの日本における心房細動患者数を表したものです。2003年に日本全国で実施された健康診断の結果より推定されたもので、解析対象者数が63万人と非常に多いので、かなり信頼性の高いものと思われます。このグラフから推定すると、2015年現在では、心房細動患者数はおよそ90万人です。ただし、この研究で拾い上げられた房細動とは、健康診断の際に心電図が心房細動を示していたもののみで、そのほとんどは、上記の持続性、慢性心房細動であり、発作性心房細動は含まれていません。
京都市伏見区の79の医療施設は、同施設を受診した発作性、持続性、慢性心房細動患者を可能な限り全て登録し、心房細動患者の臨床背景や治療の実態調査、予後追跡を行う研究を実施しています。登録患者数は2011年3月〜2012年6月の間で3183名であり、心房細動患者の内訳は、発作性が46%、持続性が7.3%、慢性が46.7%でした。この割合を先の研究にあてはめると、現在の日本における発作性心房細動患者数は80万人と推定され、心房細動患者をすべて合わせると170万人です。この数は高齢化社会の影響もあり、2030年〜2040年までは増加し続けると予想されています。
これだけ心房細動患者が多いと、それによって引き起こる合併症や治療費などの諸問題も国レベルでは甚大となり、心房細動にならないための予防方法を啓蒙したり、もしくは、なったとしてもより適切な治療方法を実施することに注意を払うべきと思われます。
日本における心房細動患者数の経年変化 縦軸は人数(×1万人)横軸は西暦
Inoue et al. International Journal of Cardiology 2009:137;102–107