一見関係のなさそうな「いびき」と「心房細動」。実はとても密接な関係があります。
睡眠中にしばらく呼吸が止まり、それが解除されるときに大いびきをかく。この呼吸停止時間が長く続くと、熟睡感がなくなり、日中に集中力が欠け、眠たくてしょうがなくなり、ひどい場合には意識が消失してしまいます。「無呼吸症候群」という病気です。
原因は様々ありますが、多くは肥満のために、睡眠中、舌根が沈下し、気道を閉塞して呼吸が停止してしまいます。治療としては、痩せることも効果がありますが、睡眠中に簡易型の人工呼吸器をとりつけるCPAPという治療が有効です。
実はこの無呼吸症候群の患者さんは心房細動になりやすいのです。無呼吸中の低酸素血症が、心臓に負担をかけ心房細動になると言われています。心房細動のカテーテルアブレーション目的で来院された患者さんに重度の無呼吸症候群が認められたので、まずはCPAP治療を試したら、心房細動が全く起きなくなったという人もいるくらいです。
8月の初め、富士山に登りました。高地では酸素が薄いために、低酸素血症となり、頭痛、吐き気を催します。いわゆる「高山病」です。無呼吸症候群も同じ。低酸素血症のために、起床時に頭痛や吐き気を自覚することがあるのです。私はカメのような速度で登ったので、幸いにも低酸素血症にはなりませんでした。 |