前々回の続きの話です。持続性心房細動を薬物で治療する際には、心拍数調節治療もリズムコントロール治療も、死亡率という観点からは、ほぼ同等の効果と申し上げました。それでは、薬物治療とカテーテルアブレーション治療を比較するとどうなのか。
最近になってやっと、持続性心房細動に対する、薬物治療とカテーテルアブレーション治療の、2つの無作為比較試験の結果が発表になりました。
一つの試験では、52人の患者さんをカテーテルアブレーション治療群と薬物治療群(心拍数調節治療)に均等に分けて、1年後に臨床効果を評価しました。カテーテルアブレーション治療を受けた患者さんは88%(複数回のアブレーション治療実施)で洞調律が維持され、また、カテーテルアブレーション治療群が、薬物治療群よりも、全身身体能力(最大酸素消費量)や生活の質の点で良好な値を示し、より低いBNP(心臓から分泌されるホルモン)値を示しました。もう一つは、患者さんをカテーテルアブレーション治療群と薬物治療群(リズムコントロール治療)に分けて、単純に12ヶ月後の洞調律維持率を比較したものですが、カテーテルアブレーション治療群では60.2%、薬物治療群では29.2%の患者さんが洞調律を維持していました。
2つの研究ともに、持続性心房細動に対して、薬物治療を実施するよりも、カテーテルアブレーション治療を実施したほうが、洞調律維持率は勿論のことと、それにより良好な臨床効果ももたらされることが明らかとなりました。
カテーテルアブレーション治療群の方が、薬物治療群よりも1年後の洞調律維持率が高くなっています。文献 (2)より |
参考文献 (1)Jones DG, et al. JACC 2013;61:1894 (2) Mont L, et al. SARA study. European Heart Journal, in press