不整脈の原因となっている心筋を焼灼するには、カテーテルの先端を心筋に押し当て、高周波の電気を流さなければなりません。この時の、カテーテルの押し当て具合で、心筋の焼き具合が変わってきます。当て方が弱いと、上手く焼けず、不整脈は治らない。当てすぎると、心筋が焼けすぎ、もしくは、心筋に穴が開いて、合併症を引き起こします。この力加減は術者次第です。そのために、上手な術者とそうでない術者が存在することになります。勿論、経験数により、この力加減の駆け引きは上手くなっていきます。
最近、コンタクトフォースアブレーションカテーテルというのが、発売されました。カテーテル先端に圧センサーが付いていて、今、どのくらいの力で、心筋に接触しているかというのが、分かる様になったのです。このカテーテルを使用すると、当たり加減が、術者の手の感覚ではなく、数字でコンピューター上に表示されます。
しかし、カテーテル先端に色々なセンサーを詰め込み過ぎたため、まだカテーテルの操作性が十分に洗練されておらず、スムーズな動きを示すというところまでは、行っていません。最初、私も珍しがって、使用しましたが、結果的に手技時間が延長してしまい、先に述べた、名刀「正宗」に戻ってしまいます。
しかし、技術は徐々に改善され、このカテーテルの操作性もその内改善されていくものと思われます。