数年前にある企業の招待で、ドイツのライプチヒ大学にアブレーション治療の見学に行きました。その大学はドイツの不整脈治療の中核をなす病院で、ドイツ人のアブレーション技術は如何なものかと興味津津でした。
しかし、改めて日本人の手先の器用さを再認識することになりました。使える道具は別として、カテーテルさばきは日本人医師の方が断然、格段に上手い。
しかし、残念なことに使える道具はドイツの方が数年先を行っています。勿論、日本でも同様の技術は持ち合わせていますが、霞が関という堅物のせいで、良い物を作っても実際に使用可能となるのには、途方もない時間がかかります。
その際、ライプチヒで食道温度センサーという良い物を見つけました。以前から心房細動アブレーションに伴う食道障害を予防するために、食道温度は測定していましたが、もう一人の医師がつきっきりで食道温度を測定しなけらばならす、その医師の放射線被曝は相当なものになっていました。見つけた食道温度センサーは同時に3箇所で食道温度が測定可能で、尚且つ、3D画像に表示することもできるので、焼灼部位と食道の距離も一目瞭然で、合併症予防に非常に有益です。個人輸入して使用しましたが、1本がなんと8万円。保険請求できないので、すべて病院が自腹を切ってくれていました。それがなんと、最近になり、日本でも保険請求ができるようになり、どこの病院でも使用可能となったのです。少しずつですが、確実にアブレーション環境は改善してきています。